大栄ホーム株式会社(設立年:2016年、従業員:12名、事業内容:木造住宅の設計・施工・販売など)で営業部の部長を務める梅原尊之は、工務店を営む家庭に生まれ育った。家業に専念するべく大栄ホームを離れていたこともあるという梅原に、今の仕事に活かされている家業での経験や、今後の展望について話を聞いた。
実地経験豊富なプレイングマネージャー
部長としての業務内容は多岐にわたる。エンドユーザー向けの営業活動はもちろんのこと、企画立案やチラシ広告によるプロモーション、マネージャーとしての管理業務に加え、グループ会議への出席など、多忙な日々を送っている。そんな梅原がかつて大栄ホームを去ったのは、理由がある。業績が右肩上がりだった当時、呼応するように会社組織は肥大していった。それを目の当たりにして、飛躍的な成長が望める環境ではないと感じたからだという。今になって思えば若く未熟な判断だったと述懐するが、約10年の間家業に携わり、マイホームづくりの最前線で養われた広い視野は、現在の大栄ホームにおいてもなお健在なのである。
奥行きある知見の源泉は
「実家で商売をやっていたころは、営業に始まり、大工として施工まで一貫して手掛けていたのです。足場を架けるのも、基礎を作るのも、内装を作るのも、すべて自分でやっていました」。建築士の免許を持つ実父と、宅地建物取引士の資格を持つ梅原との二人三脚。個人事業の延長のような規模だったが、顧客の開拓から引渡後のアフターサービスに至るまで、全てをワンストップで提供していた。この経験のおかげで、現場知識に基づいた提案ができることから、特に年配のお客様との商談に効果的だと感じている。お客様の要望にも柔軟に対応することができ、大栄ホームの外で過ごした10年間は、間違いなく今日の自分の糧になっているという。
「引き」の営業
人材不足の声を受けて、活躍の場を大栄ホームに戻したのは2014年頃のこと。それ以降は営業活動に専念しているが、梅原の営業スタイルは、不動産業にありがちな強気のセールスの真逆を行く。「強引な売り込みなどはやりません。綿密にヒアリングを行ったうえで、自分がお客様の立場ならどうするかを常に考えています。良いタイミングでないと判断すれば、こちらからお断りすることもあります」。
印象的だったのは、70代の夫婦だ。聞けば、今後住み続けるのに十分な住まいを持っていた。そこで梅原は、「私ならこの資金を建て替えに使わず、旅行などで夫婦の時間を楽しみます」と伝えたのだ。その翌週、夫婦が娘を連れて再び来店。娘によれば建て替えは父の強い意向だったが、老後のライフプランに少なからず影響を及ぼすことから、なかなか賛成できずにいたという。梅原が一度断ったことで、その誠実な姿勢が信用され、成約に結び付いたのだ。短期的な利益だけを追わず、顧客の立場での最善を考えたからこそ勝ち得た信頼と言える。売ったら終わりのビジネスではないからこそ、信頼関係の構築に心を砕いているのである。
「FPの家」が秘める可能性
多くの顧客にとって、一生に一度しかない大きな買い物がマイホームである。また、南海トラフ地震の可能性が危惧される静岡エリアにおいては、災害に負けない家づくりも、ハウスメーカーに求められる社会的責任だ。大栄ホームもこうしたニーズに応えるべく、2019年秋から「FPの家」フランチャイズに加盟し、重点販売商品として力を入れている。「高気密・高断熱・無結露年保証がウリの高性能住宅で、特殊な断熱材を採用しているため躯体が腐らず、30年後にも価値を実感していただけます。値は張りますが、長期的な視点で満足度の高い家づくりをしていただきたいのです」。
今後は「大栄ホームといえばFPの家」と認知されるような事業展開を目指していきたいと意欲を見せる梅原。その眼差しは、大栄ホームの未来に欠かせないものとなっている。
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