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ご縁の輪|株式会社ITBエンタープライズ沼津支社取締役兼支社長|秋田好久(2020.8.24)

第一伊藤建設株式会社のグループ企業、株式会社ITBエンタープライズ(設立年:1978年、従業員:13名、事業内容:不動産情報管理など)。その沼津支社で取締役兼支社長を務める秋田好久の入社年は、昭和から平成へと移り変わる、まさにその年であった。ITBエンタープライズへ入社するまでの経緯や、未経験だった業種での奮闘、今後の課題について聞いた。

異業種を経て現在の職場へ


学生時代は工業高校の建築科で学んだ秋田。就職活動の時期をむかえ、多くの生徒が建設業界に進む。そんななか、建設業界には進まず一旦はトヨタ系の会社に就職を決めた。しかし、折角学んだ建築の知識を活用できないことへの未練もあり、あえて同級生が誰も進まなかった不動産業界に進む決意をした秋田は、働きながら宅建の資格を取得し、ITB沼津(現ITBエンタープライズ沼津支社)へと転職する。当時の静岡ナショナル住宅(現株式会社パナホーム静岡)が建築したアパートの管理のために設立された会社だった。


時はバブル景気の最盛期、ブローカーや地上げ屋が隆々としている時代、一軒数千円というアパート管理業の世界へ、資格取得者とはいえ未経験で飛び込んだ素人同然の秋田。しかも指導役となる担当者は一人しかおらず、その社員も前任者との中継ぎのようなもので、業務に精通しているわけではない。自ら望んで不動産業界への転職を果たすも、不透明な未来に暗澹とした気持ちになったことを、いまでもよく覚えている。


昔ながらの縁に救われて


昔ながらの縁に救われて先行きの見えない不安のなか、唯一の救いとなったのは高校時代の友人たちだ。アパートの管理上、建物のメンテナンスは必須である。水漏れのような原因を特定できないトラブルに対処する上で、建設業に従事する友人たちは大きなよりどころとなった。


いまでこそ一般的な管理マニュアルが充実しているが、当時はそのような便利なものはない。しかも、静岡県の東部地域でアパート管理を専業で担う企業は皆無に等しく、試行錯誤しながら、トラブルに直面するたびに友人たちの助けを得て、解決法を見つけてきたのである。この関係をいまも変わらず続けてくれている友人たちには、感謝してもしきれないほどだ。


時代の変遷とともに生じる新たな問題


年を重ねるごとに不動産業界も移り変わり、バブル経済の崩壊後から管理業に参入する会社も増えてきた。社歴に伴いITBエンタープライズが管理を任されている建物の老朽化、オーナーの高齢化が進んだ。「いま直面しているのは、老朽化したアパートをオーナー様が代替わりして経営を引き継いだ後の問題です」。


大抵の場合、アパート経営に関わりを持たないまま地元を離れて進学し、さらにそのまま就職してしまう。こうした代替わりオーナーと顔を合わせる機会もなくやり取りをしていると、いざという時に意思の疎通をはかるのが難しい。信頼関係も育たないため、入居者の出入りの際にかかる経費が高額になると疑問を持たれてしまう。リフォームするのか、建て替えるのか、売却するのか、決断できないまま、ただ入居率だけが低下してしまう。物件自体が古くなれば、創意工夫を凝らさないと、そう次々と入居者が埋まるものでもないのだが、それを理解してもらえないことも多く、悪循環に陥る。


課題解決の理想の形

オーナー代替わりのトラブル事例を他社からも耳にするなかで、理想的な引き継ぎをしてくれたオーナーがいる。将来を想定して、子息と引き合わせてくれたのである。そのおかげで、現在遠方に住む2代目オーナーとは、電話だけのやり取りにもかかわらずしっかりと意思疎通ができている。50代に突入し、残りの仕事を見据えた時に大きな課題となるのは、こうしたオーナーの代替わりと老朽化したアパートの問題だ。理想形は見えたものの、現オーナーにはなかなか「遠方にいる次世代のオーナーに引き合わせてほしい」とは頼みづらい。


「ただ、この会社は、オーナーとアパートに支えられてきた会社なんです。初代のオーナーにお世話になった恩返しを2代目オーナーにすることができれば、そこから又、次の道が見えるかもしれないと考えるようになりました」。

なんとかその課題をクリアし、さらには社会情勢の変化に即した新しい試みにもまだまだチャレンジしていきたいと考えている。走り続ける秋田の活躍を、今後も見守りたい。

 

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